飲んだくれの記

方向音痴で熱しやすく冷めやすい、酒とラーメンの大好きなポンコツが綴る徒然の記。

僕が戦場で死んだら

僕が戦場で死んだら (白水Uブックス)

僕が戦場で死んだら (白水Uブックス)

「本当の戦争の話をしよう」ほどの傑作ではないが、期待を裏切らない佳作。
ベビーブーマー世代の若く学もあるアメリカ人が、徴兵されベトナムの戦場に投げ込まれる。その過程で彼が何を見て、考えて、苦しんだか。主義主張を振りかざしたり抽象論を振り回したりするのでなく、やや不器用に等身大で物語る姿勢が深い共感を呼ぶ。かと思えば淡々とした描写の中に悲惨な描写もユーモアもそっと忍ばせてくるからたまらない。
魂の深いところをグッと鷲づかみにしてくるティム・オブライエン。出会えて本当によかったと思える作家のひとりだ。