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飲んだくれの記

方向音痴で熱しやすく冷めやすい、酒とラーメンの大好きなポンコツが綴る徒然の記。

クリスマスのフロスト 読了

読書

クリスマスのフロスト (創元推理文庫)

クリスマスのフロスト (創元推理文庫)


フロスト警部シリーズの第一作。


まー、とにかく一度ページを開いたら、寝られない。


イギリスはデントン、架空の地方都市が舞台。ここで美しい娼婦の幼い娘の誘拐事件を皮切りに、次から次へと起きる事件。解決に当たるは、よれよれのスーツに身を包み、だらしない格好と態度で、効率や名誉を重視する上官や同僚の怒りと軽蔑を買いまくる、我らがフロスト警部。これでコロンボばりに難事件をパッパと解決すれば格好もつくのだろうが、そんな気配は、まるでなし。捜査の勘はハズしまくる、整理整頓や書類仕事はまったく苦手、記憶力は悪くて、段取りという考え方とは全く無縁。優先度無視で思いついた端から行動するから、部下はいつも振り回されっぱなし。とりえと言えば、情に厚くて制服警官や街のこそ泥には隠れた人気があること、「これだ!」と思うと睡眠時間を削りまくって仕事に夢中になることくらいか。


フロストの周りを固めるのは、ひとくせもふたくせもある連中。昇進欲の塊で、いつかフロストを追い出そうともくろむマレット署長、効率主義の権化、面白みゼロの優秀な警部アレン。それぞれの悩みを抱える、愛すべき制服警官たち。みな、とにかく生き生きしている。


口を開けば下ネタと、眉をひそめるような品の悪いジョーク(でも、面白い)ばかりを連発して、彼は今日も勝手気ままに(でも上司マレットの怒りにはビビりつつ)、フロストは動きまくる。動けば動くほど新しい事件に遭遇し、もはや今、何の事件が問題になっているのか分からなくなるほどもつれあっていく。しかしラストに近づくにつれ、次第にときほぐれていく糸。すべての怪しい事象が複雑に絡み合っているとは限らないあたりが、却ってリアルだ。読者は、ジェットコースターに乗った気分でひたすら話の流れ、会話の流れに身を任せているだけで、気がつけば真相にたどり着いている。上質のテレビドラマを観ている趣だ。そういえばこの作品、イギリスではドラマになっているらしい。この小説、そのままドラマに出来そうな作りになってる。


全く予備知識はなかったのだが、このシリーズ、いずれもミステリーの人気投票ではかなり高い票を獲得しているらしいことが帯から伺われたので、その分厚さに(本作は解説含め、535ページ)少々ひるみつつも、ともかくも買ってみたもの。参ったな。このシリーズを読み終わるまで、他に何もできないじゃないか!


18日読了。