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飲んだくれの記

方向音痴で熱しやすく冷めやすい、酒とラーメンの大好きなポンコツが綴る徒然の記。

レッドクリフ Part1 鑑賞

映画

三国志演義」の無数の名シーンの中でももっとも印象深く、おそらくはもっとも人気のある「赤壁の戦い」。それをジョン・ウー監督が映画化したのが、「レッドクリフ」。Part1とPart2の前後作に分けての公開。近くの映画館まで観にいってきました。ロードショー初日で、しかも映画の日。チケットは見事完売。こんな満員で映画を観るのは、試写会を除けば、10数年前の「攻殻機動隊」のとき以来な気がします。


さて観終わった感想としては、テンションの保ち方やリズムに課題あり、しかしストーリーやイメージを大切にしており、三国志演義好きは必見。というところでしょうか。


配役がうまい。それが一番の印象です。まぁ文学作品のキャラクターイメージは十人十色なので、まったく逆に捉えた方もいらしたかもしれませんが。
劉備も含めた蜀の連中は、とくにいい。漫画みたいにコミカルな張飛の風貌、トレードマークの髯が板についた関羽、いかにも朴訥として一身これ忠義、みたいな超人気キャラクター趙雲(僕も大好きだ!!!)、そして頭張ってる割にはいまいち頼りないオッサンの劉備金城武孔明も、思いのほか、よい。あえてわざとらしく作った表情が特にうまいよ(これは皮肉じゃなくて、孔明ならやはりそうするだろうという意味で)。蜀以外にも、学があり、人材を大切にしつつも、自分に歯向かうものには残忍で、いつも笑顔でいながら、腹の底を決して見せない曹操もハマってる。眼光鋭く野心を秘めた若者でありながら、しかし伝説的な父と兄に対してのコンプレックスや言うことを聞かない老臣たちへの苛立ちを隠せない孫権もまたよし。
ただ、中村獅童甘興は、ちょっと表情の作り方があざとすぎるな。肝心のトニー・レオン周瑜は、意見が分かれそう。映画での彼はあまりにも人格者で、しかもおとなしい。でもこれはこれでアリ。映画自体がそうした周瑜の性格を前提に練られているので、違和感は感じない。
そういや、関羽の声が顔の割りにちょっと頼りない印象なのは、ちょっと笑えた。あと、絶世の美女、小喬のリン・チーリンのあまりの美しさには唖然呆然。写真で見てもキレイだけど、動いているとまたさらに魅力的だ。(それにしても、大喬はどこいったんだ?)


戦闘シーンでは、HERO(ドラマじゃなくて、チャン・イーモウ監督のやつ)みたいな極端なワイヤーアクションは極力抑えられており(甘興や、多数のヤラレキャラでは活用されていたが)、生身のぶつかり合いを大事にしていたようです。予想していたよりは、地味だったかな。そう思うのも、ハリウッドの激しいアクション映画に慣らされてしまったせいだろうけど。ただ個人的には、関羽張飛趙雲などの伝説的な猛将については、もっと大げさな表現をしてもらってもよかったかなぁと。それこそ、青龍刀の一振りで周りがなぎ倒されていくような。
あと、マスゲーム的な戦術の見せ方が面白いね。八卦の陣の解釈とか。これで本当にうまくいくのか分からないけど、楽しめました。


よく親しまれているシーンは、比較的伝えられている内容に忠実であるように思いました。趙雲が単身阿斗を救い出すシーンとか。これは、ファンにとっては嬉しいよね。(もっとも、これはこれで自分のイメージとのギャップに憤る方もいるかもしれない。)もちろん、聞いたことの無い、おそらくは創作シーン(孔明が馬の出産を助けるとか)も多数入っていますが、いずれも、世界観を大きく損なわず、かつ、キャラクターの性格や人間関係の進展を表現する上で効果的であるように思いました。でも、周瑜自ら白兵戦を行ったのにはビックリしたなぁ、もう。


特撮はもちろんあちこちで用いられてましたが、中でも特にうまいなぁと思ったのは、孔明の放ったハトを使って、鳥の視点から、笑っちゃうくらいに巨大な曹操軍(80万の兵に2000艘の軍船!)を俯瞰するシーンですかね。圧倒的に弱小な劉備孫権連合軍との対比を視覚的にうまく表現しています。


全体に残念な点をあげるとすれば、やはり途中ダレる印象があること。緩急は大切だけど、テンションが一度思いっきり下がるのはどうか。シーンの切り替えも、ときどき音が途切れたり(?)、アレ?と思う部分があった気がします。


団結や愛を中心にすえたストーリーは、三国志演義が数百年にわたって語り継がれてきた所以であり、世代に関わらず普遍的な価値を持ち続けるものですが、特に、個人間の競争や孤独に疲れた現代人には膾炙するように思います。これをきっかけに三国志ブームが、再到来するかも。してほしい。


さてPart2は、いよいよ連環の計から始まる一連の名シーンに突入すると思われます。赤壁と言えば「火」。Part2の予告がPart1のエンディングクレジット後に流れるのですが、その予告編も全編「火」「火」「火」でした。小喬がなにやら活躍するらしく、これも楽しみ。Part2の公開は、2009年4月。待ち遠しいなぁ!