飲んだくれの記

方向音痴で熱しやすく冷めやすい、酒とラーメンの大好きなポンコツが綴る徒然の記。

願い星、叶い星 読了

「虎よ、虎よ!」のアルフレッド・ベスターの短編集。いずれも50年ほど前に書かれたものだが、総じて、古臭さは感じられない。


率直に認めます。
最初に収められた二編(「ごきげん目盛り」「ジェットコースター」)を読んでも、狐につままれたような気持ちでワケがわかりませんでした。熱い語り口で畳み掛けるようにしゃべっていた人が、唐突に語るのを止めて「どうよ?」とニヤリと微笑みかけてきたときのような、とまどい。え?今ので終わり?オチはどこ?みたいな。
しかも暴走したアンドロイドと、その持ち主とが共感してしまい、いつのまにか人格が同一化してしまう(?)「ごきげん目盛り」は自他共に認める短編最高傑作だそうで・・・うーん。SFとは難しいものだな。


しかしそれ以降に納められた作品は、比較的楽しめました。特にラスト二編、未来の年鑑を入手してしまった男と、それを取り返そうとする男とのやり取りを通じて、オーソドックスなタイムパラドックスを扱った「時と三番街と」。戦時下のイギリス、隠れ家の中でデカダンな生活を送るも、これにすっかり飽いた6人組(のうちの5人)が味わう、三者三様の地獄を描く「地獄は永遠に」。


えーっと。実はベスター読むのは初めてでした(汗)。「虎よ!虎よ!」も、今度読もうと思います。