夜は短し歩けよ乙女 読了
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/12/25
- メディア: 文庫
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学生時代の甘酸っぱい思い出と、終わらない祭りのような無秩序と喧騒。それらが原色でよみがえる、ドタバタ青春恋愛小説。
すっごくワクワクして、少しキュンとなりつつも、思わず頬が緩んでしまう、そんな作品。面白い!
過剰なまでのレトリックや衒学的な表現の多用は、経験よりも知識で頭でっかちになっていた学生時代の「背伸び」した感覚を思い出させる。それが嫌みでないのは、自虐をはじめとする、作者特有の知的なユーモアのおかげだろう(相当頭いいんだろうね、この人)。また魑魅魍魎の跋扈する京都を舞台としていることも絶妙。化け物は出てこないが、それにも似たとんでもない曲者たちを次々に登場させるうえでは、この地をおいてふさわしい場所があるかどうか。
大学のサークル後輩の「黒髪の乙女」に一目惚れして以来、ずっと彼女を後ろから見守る主人公。ストーカー並に頑張って、日々彼女の視界に入らんと奮闘するも、その一途な想いが彼女に伝わっている様子はない。それもそのはず、彼女は彼女で、かわいい顔して恋愛にはとんと奥手な、ド天然。好奇心も探究心も旺盛で素直そのものの彼女は、次々に遭遇する変なキャラや快事件との戯れでもう、頭がいっぱいなのだから!
ひ弱な文系男子の理想を絵に描いたような、黒髪の乙女がたまらない。かわいいくせに酒豪で、天然。そのくせ、どこか男前。思いやりがあって優しく、感性豊か。かなりズレつつも、知的な読書少女。そりゃ、惚れるよな。
「先輩」と「黒髪の乙女」のこれからの恋の行方、応援しましょう。
これもマイミクさんのお勧め作。題名だけ頭に入れてブックファーストに行ったら、この本がずらりと、どの本よりも目立つところにお勧めとして並んでいて、ビックリした。もちろん、これも運命と速攻で買いました。