アミ 小さな宇宙人 読了
- 作者: エンリケ・バリオス,さくらももこ,石原彰二
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2005/08/05
- メディア: 文庫
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友人から勧められて読んだ。チリ発のこの作品は、なんと世界11カ国で翻訳されているそうだ。
墜落したUFOから出てきた小さな男の子の姿をした宇宙人、アミ(アミーゴの略)と、少年ペドゥリートのコンタクトと一晩の交流。ペドゥリートは、アミと世界中を飛び回り、地球すら飛び出す中で、彼から様々なことを教えられる。宇宙の法、神、地球人の現状のこと。
読み始めは正直退屈だった。神や宇宙人を持ち出した時点で、作者の信条を宇宙人に仮託するいつものやり方か、と少々突き放した目で見ていたのだ。が、どこからだったか、俄然面白くなった。愛の度数の高低、擬人化されない神(=愛)。これらの概念が、僕自身の信条とかなりの親和性を持っていることに気づいたからだと思う。
僕自身は信仰を強要する宗教、擬人化された神、とくに偶像化されたものに対して、人間研究の面白い材料として理解したいと思っているけれども、僕自身の信条としては、少なくとも今は、これを断固拒否する。というか、嫌悪する。そのガードをすり抜けてくるんだから、これは僕にとっての「よき書」であるかもしれない。その説諭の主体として宇宙人を持ち出すことには、まだ戸惑いを感じるが・・・(僕自身は宇宙人を信じるとも信じないともいえない。今は、「わからない」だ)。
描かれたギミックや未知の技術の描写が少々鼻につくが、しかし、展開される主張のコア部分は、美しく、僕自身の理想ともかなり軌をいつにするという意味で、素晴らしい。折に触れて読み返すことで、人生において本当に大切なことを思い出すきっかけとすることができる・・・そんな本になりそうな予感。
かわいらしい、さくらももこの挿絵も◎。
この寓話はこれでひとつの書として完結しているが、どうやら続編があるらしい。読んでみよう。