飲んだくれの記

方向音痴で熱しやすく冷めやすい、酒とラーメンの大好きなポンコツが綴る徒然の記。

時計じかけのオレンジ 鑑賞

時計じかけのオレンジ [DVD]


何年も前にDVDで購入して以来、機会がなくて封も切ってなかったが、今日ようやく開封。15年ぶりくらいの鑑賞になるかな。

退廃した文化と犯罪渦巻く近未来のイギリスが舞台。ロシア語なまりのスラングを駆使するチンピラのリーダー、アレックスが主人公。
比較的恵まれた環境に育ちながら、夜はひたすら無軌道かつ暴力的に犯罪を繰り返すアレックスだったが、仲間の裏切りにあい、とうとう殺人で投獄されることに。彼は刑務所内で、政府が導入しようとしつつある、犯罪者矯正プログラムのことを知る。これを受ければ釈放されると知って、彼はその被験者となることを熱望する。その実験の真の恐ろしさも知らずに・・・


いわずもがなの、スタンリー・キューブリック監督作品。


セックスとバイオレンスの横溢する前半部分。昔観たときはかなりキツかったが、今観ると、むしろ「博士の異常な愛情」に通ずるブラックユーモアの効きようが見事すぎて、賛美したくなるほど。


とにかくすべてが、過剰。美しい。怖い。そして、笑える。相反しかねないこれらをすべて兼ね備えた作品。やっぱり傑作だ、こりゃ。


チンピラのリーダー、アレックスの存在感と怪演ぶりが、素晴らしいの一言。左の口辺をクイッとあげる、あの人を喰った表情。ヤバすぎるよ。
怪演といえば、昔アレックスたちに襲撃された不幸な作家の演技のやりすぎ感がまたもう、ステキ過ぎて、悶絶寸前。涙目になるくらい笑える。


映像の美しさは、さすがキューブリック。「シャイニング」のように病院の廊下をローアングルで移動するシーン。原色系の強烈な色彩。ため息。


まちがっても家族団らんの場で観るものではないが、一人でも多く(コッソリと?)観てもらって、ひたすら感心してほしい、そんな映画だ。