トロイ 鑑賞
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2006/12/08
- メディア: DVD
- クリック: 7回
- この商品を含むブログ (35件) を見る
感想を最初に言います。
「なんじゃこりゃああああああ」
"Inspired by Hormer's IRIAD"らしいんですが、どう考えても、「イリアス」とは、登場人物の名を借りただけの別作品です。
いや、僕は原作至上主義者ではないんだけれども、あれほどの物語を、よくぞここまで近代的かつ陳腐にしてくださいました、という印象。
神の介入の無い世界でイリアスを描くのは、どう考えても無理がある。僕がイリアスに惚れこんだ英雄たちのキャラクタリスティク(神を尊び、死を恐れず名誉を重んじる)は、ほとんどきれいさっぱり失われておりました。
以後はネタバレあり。
別作品と言っておきながら、原作との差異をあれこれ指摘して非難するのはおかしいんですが、それでも黙っていられない。アガメムノンもメネラオスもアイアスも、みんなヘクトルより先に死ぬなんて、あまりにもひどい、ひどすぎるよ!!!これじゃ、オデュッセイアは絶対に実現しないじゃないか・・・。また、野心家でいやらしいアガメムノンがあまりにも醜悪だし、一匹狼アキレスの涜神ぶりも、ちょっと見てられない。母親が女神だというのに。
アクションも、お金や人出はもの凄くかけている様子だけど、どうにも中途半端。
ブラッド・ピットは、たしかにマッチョだけど、アキレスには役不足。やはりこの役には、人間を超越した神々しさが欲しい。
登場するオッサンたちは貫禄があって、非常にいい感じなんだけど、それを生かせてないのが惜しい。惚れられるオヤジ像にして、いくらでもカッコよくできそうなものなのに、シナリオのせいで全然生きてこない。
ただ、オーランド・ブルームのパリスは、ちょっと合ってるかな。女たらしで度胸も無く、ひ弱で情けない役がぴったりハマってる。しかし最後の戦い方は、どう考えても「指輪物語」のレゴラスのパクりだよな、ありゃ。*1
プリアモス(ピーター・オトゥール)の渋さは、いいね。声がしびれる。目の演技は、時に過剰とも思えるが、むしろこうした様式的な美が他にこの映画に無いことが問題。
あと、オデュッセウス(誰?)は、イメージに近かった。決して大柄でなくもたくましく、抜け目無い印象が。どうも自分の中では、指輪物語のアラゴルンと、かぶるんだよなぁ。
こんなさんざんな感想だけれども、またDVDで映画を観ることが楽しくなってきたよ。先日DVDプレイヤーを新調したんだよね。次は何を見ようかな。
*1:いや、たしかにアキレスのアキレス腱を射抜いたのはパリスってことになってるんだけど・・・