飲んだくれの記

方向音痴で熱しやすく冷めやすい、酒とラーメンの大好きなポンコツが綴る徒然の記。

イリアム 読了!

僕を歓喜のあまり失禁せんばかりに興奮させたあの「ハイペリオン*1の作者、ダン・シモンズの最新翻訳「イリアム」、読了しました。


イリアム (海外SFノヴェルズ)

イリアム (海外SFノヴェルズ)


続く「オリュンポス」(訳書未刊行)全二部作の第一部。単行本にして750ページ強の大部の書。しかし終わってみれば、翻訳の読みやすさもあって、あっという間。


感想。すんげえええええええ面白れぇ!!!*2


この本を読みふけることのできた、ここ3日ほどの通勤電車は、僕にとっての至高空間でした。急行に乗ると読む時間が短くなるのがいやで、わざわざ普通電車でゆっくり帰ったりもしたしね。


古今のあらゆるSF的ギミックを惜しげもなく投入し、しかも文学的歴史的なウンチクも盛りだくさん、そして魅力溢れるキャラクターたちをビジュアルにガンガン動かして、ドキドキハラハラ山あり谷ありの展開を多層的に繰り広げる、エンターテイナーとしてのダン・シモンズの筆力には、ただもう敬服。

  • ホメロスの「イーリアス」そのままに、生き、愛し、戦うギリシャの神々と英雄たち。そしてイリアム(トロイ)を巡る戦い。片や、ナノテクで神々によって復活させられ、その史上に名高い戦いを観察させられる20世紀の学者、ホッケンベリー。その彼が女神からある使命を授かったとき・・・
  • H.G.ウェルズの「タイムマシン」に登場する「イーロイ」そのままに、過去の文明の記憶を喪失し、無気力かつ享楽的に過ごす人類たち。しかしその生活に疑問を持ち始めたハーマンやその友人、ディーマンたちは、とあるきっかけから、世界の謎を探る旅に出発することに・・・
  • 木星の衛星で過ごす、感情を持った半生物ロボット(モラヴェック)のマーンムート。彼の楽しみは、シェイクスピアソネットを研究すること。その彼が、火星で起きている異常な量子活動の理由を探るために火星探検隊の一員に選ばれ、出発することになった。そこには・・・

まったく異なる三つの物語が交錯するとき、そこに驚くべき展開が生まれる。


ただ、「イリアム」では最後に怒涛の盛り上がりを見せるものの、謎のすべてが明かされるわけではない。いや、むしろ謎は深まるばかりだ。そう、ハイペリオン二部作における、第一部とまったく同じように。
「オリュンポス」では「ハイペリオンの没落」ばりにとんでもない展開になることは容易に想像される。あー、もう楽しみで楽しみで仕方が無い。


ある登場人物が最後に言った

「それだけに、つぎになにが起こるのか、楽しみでしかたがないよ」

は僕ら読者の気持ちの代弁だ。


酒井昭宣センセー、続きの翻訳、早く、早くお願いします!!!

*1:読まずに死ぬな!!!

*2:嗚呼、知性のかけらも感じられない言辞であるかな