飲んだくれの記

方向音痴で熱しやすく冷めやすい、酒とラーメンの大好きなポンコツが綴る徒然の記。

復讐者に憐みを


パク・チャヌク監督による、「オールド・ボーイ」「親切なクムジャさん」に先立つ復讐三部作の第一作がこれ。


姉思いの優しい弟が、姉を助けたい一心で起こした行動は、やがて悲劇に一直線になだれ込んでいく。憎しみが憎しみを呼び、その連鎖はもう誰にも止められない・・・


観ていて、本当に心が痛い。三部作では、これが一番観終わった後に沈むね。この尾の引きようったら。つくづく考えさせられてしまう。


ただ、映像の美しさはさすがだ。この監督は、自分が何を見せたいか、本当によく分かっていると思う。残酷なシーンですら、一本筋の通った美学に貫かれているのが感じられる。


誰にでも気軽に勧められる映画ではないが、本当にイイモノを探している人にはそっと差し出したい、そんな骨太の映画。


キャスト的には、ソン・ガンホの安定した感情表現がやはり素晴らしい。
ペ・ドゥナという女優は初めて見た気がするけど、いやー、チャーミング。鈴木杏にちょっと似てませんか?
耳の不自由な弟役のシン・ハギュンの哀しい表情も忘れられない。この人を見てたら、どうしてもユースケ・サンタマリアとかぶるんですが・・・*1

*1:おいらの人の顔に対する見る目の無さは保証つきですんで、サラッと流してください