飲んだくれの記

方向音痴で熱しやすく冷めやすい、酒とラーメンの大好きなポンコツが綴る徒然の記。

ディアスポラ 読了

ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF)

ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF)


とうとう読み終わってしまった。はぁ・・・


次から次へと繰り出される驚愕のアイデアの数々とそれを読み解きイメージする楽しみ、現れてはそれぞれの理由で去っていく魅力的な登場人物たちの残す余韻、文字通り時空を超えたストーリーの壮大さ、どこをとっても素晴らしすぎて、息つく暇もない心持ちでのめりこんだ。僕らはどこからきて、どこへ行くのか。緻密で説得性の高い文章に、これが人類の真実の未来の姿であると錯覚しかけたほどだ。


ただ敢えて言うなら、トップスピードを保っていた第六部まで(オーランドとヤドカリとの疎通まで)と比べ、ソラリス的な意味であまりに楽観的な第七部、第八部は読んでいて不安があったことも告白せねばなるまい。しかしこの終わり方なら、満足。終わりよければすべてよし。最後のヤチマの姿は、筆者の切なる願いがそのまま託されたもののように映る。


出版されてるSFがみなこのレベルを保っていたら、どんなに人生楽しくなるか。解説の大森氏に先を越されてしまったが、ホント、イーガンと同じ時代に生きていてよかった。今年読んだSFの最高傑作であるとすることに何のためらいもない。