飲んだくれの記

方向音痴で熱しやすく冷めやすい、酒とラーメンの大好きなポンコツが綴る徒然の記。

死の棘 読了

死の棘 (新潮文庫)

死の棘 (新潮文庫)

ある日を境に始まった、いつ果てるとも知れぬ妻の責め苦と子供たちの苦しみを、豊潤な表現で描ききった書。表現の豊かさに圧倒される。日本語ってすごい。おかげで比較的大部の書であるにもかかわらず、最後まで飽きることはなかった。
当人たちは苦しいが、周りからみるとともすれば滑稽ですらある事実を、それを自覚した上で淡々と描く、そのクールさが面白い。

映画は未見だが、読んでるうちから岸辺一徳がハマり役であることが想像できてしまう。というか、浮かんでくる主人公の顔が、どうしても岸辺一徳になってしまうのだ。早いとこ、ビデオで観よう。TSUTAYAにあるだろうか?
あと、先日観た、北野武の「Dolls」の情景も重なってしまって仕方なかった。これは女が狂う、という点以外共通点は無いのだけれども。