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飲んだくれの記

方向音痴で熱しやすく冷めやすい、酒とラーメンの大好きなポンコツが綴る徒然の記。

スカイ・クロラ 読了

スカイ・クロラ (中公文庫)

スカイ・クロラ (中公文庫)


押井監督がこのたびアニメ化するというので、今日買って、一気に読んだ。


スカイ・クロラ(映画)公式サイト


舞台はおそらく近未来の日本。遺伝子操作で(?)生まれた、年もとらず死ぬこともない、キルドレといわれる子供たち。彼らはビジネスとしての戦争に誰のために戦っているのかも分からないまま従事し、そこで空中戦を行い、殺され、死んでいく。


主人公カンナミ・ユーヒチの一人称で淡々と語られるこの小説は、その形式からなかなか背景にある真実が見えにくい構造になっている。キルドレ特有の感情の起伏の少なさから、小説を支配するトーンは終始安定しており、簡潔で、ハードボイルドだ。


題材は非常に魅力的。だがしかし、僕にとって本作は、ちょっと分かりづらかった。
シリーズ第一作のこれだけで分かった気になろうとすることが間違いなのかもしれないが。特に上司でありヒロインである草薙水素(クサナギ・スイト)の抱える心の闇には、手が届きそうで届かない。キルドレであることの苦悩や、生の意味が分からず煩悶する様子が伺われるのだが、それがあまりにも言葉少なく、やや唐突気味ですらあると同時に、多くが謎のままでありすぎるために、僕の中で消化不良を起こしてしまっているのだ。


これは、おそらくクサナギの過去やキルドレの真実が語られるであろう、次作以降を読めとの戦略なのであろうか。


ちなみにキャラとしては土岐田と笹倉がナイス。人間くさい彼らがいてこそ、主人公や草薙の異常性(とあえて言ってしまうが)が、際立つようになっている。これは、うまい。


ところで映画の方だが、公式サイトの予告編を観ると、小説内での印象的なセリフがそのまま登場しているものの、小説から受けるトーンよりはるかに激しい感情の起伏がそこには表現されているように見受けられる。そしてそれは大変魅惑的だ。ヤバい。すごく観たい。