飲んだくれの記

方向音痴で熱しやすく冷めやすい、酒とラーメンの大好きなポンコツが綴る徒然の記。

理性の限界 読了

理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性 (講談社現代新書)

理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性 (講談社現代新書)


ここ一ヶ月ほどで読んだ本の中では、ダントツで一番。
人間理性の限界に関して絶対に押さえておくべき理論群に関する、素晴らしい入門書。


第一章 選択の限界 アロウの不可能性定理
第二章 科学の限界 ハイゼンベルク不確定性原理
第三章 知識の限界 ゲーデル不完全性定理


ここに並んだ3章の見出しだけでも興奮するが(え?しない?)、内容もポップで読みやすいくせに、押さえるべきを押さえてる心憎さ。様々な角度から様々な立場の人間がチャチャを入れながら進められるシンポジウム形式で語られるさまざまな学問の到達点。そこには、軽やかな知性と遊び心があふれてる。(「カント主義者」のように極端なデフォルメを施したキャラクターも出てくるけど、それが決して中傷に由来するものではないことも分かるので、安心して読めると思うんだ)


真に民主的な選挙制度はありえないことを示したと言われる、アロウの不可能性定理。
量子論の基礎であり、ミクロの世界では物質の位置や運動量を正確に測ることはできないとする(あってる?)、ハイゼンベルク不確定性原理
無矛盾な公理系はそれ自分が無矛盾であると証明できないことを示し(間違ってますかね?)、まさに人間理性の限界を示したと思われる、ゲーデル不完全性定理


こうした理論が示す人間の限界は、それ自体が人間存在の限りない可能性を見せてくれているように、僕には思われる。ありていに言えば「人間って、なんて凄いんだろう!」と叫びたい気分だ。


とりあえず、必読書とさせていただきます。いいから、黙って読め。