ビッグバン宇宙論 読了
いやー、面白い!!!
多くの日本人が、この宇宙はビッグバンで始まった、ってことを信じていると思う。しかしビッグバン理論が市民権を得たのは、実はそう昔のことではないのですね。
それまでの2,000年以上の間、宇宙とは何かについて、哲学者が/天文学者が/科学者が、何を考え、何と闘ってきたか。この作品は、その変遷を、そのときどきのキーパーソンに焦点をあてつつ、迫真の筆致で描ききったドキュメンタリーです。
専門性よりは、明快さ、平易さを重んじており、とにかく、わかりやすい。そして、感動します。
- 科学とは何か。
- いつ、何が問題となっていて、どのようにその問題が解決されていったのか。
- そのとき、どのような人間ドラマが生まれたか。
これを、ギリシャの昔から近代、現代と追っていく過程は、良質のミステリを読み解いていくような快感を、与えてくれますよ。
理論と検証との両方をクリアしたものだけを俎上に乗せているので、未だ未検証である最新の宇宙理論について押さえるには物足りないと思います。でも、それは類書に任せればいいんじゃないかな。
最近日本ではめっきり少なくなってしまった(と僕は思うのだが)「若き科学好き」を増やすような啓蒙書って、こういうのを言うんじゃないかと思う。書いたのは日本人じゃないけど、こういう書籍が日本でももっともっと読まれることを期待したい。
ビッグバンって、何?どうしてそんな突拍子も無い理論が主流なの?・・・と考える、好奇心豊かなフツーの人(僕みたいに)。この本は、そんな人が読めば、きっと楽しめます。
お勧め!!!
なお、同じ著者(サイモン・シン)による「フェルマーの最終定理」も手に汗握る、素晴らしいドキュメンタリーでした。