飲んだくれの記

方向音痴で熱しやすく冷めやすい、酒とラーメンの大好きなポンコツが綴る徒然の記。

イリアス 読了

イリアス〈上〉 (岩波文庫)

イリアス〈上〉 (岩波文庫)

イリアス〈下〉 (岩波文庫)

イリアス〈下〉 (岩波文庫)


ホメロスによるトロイア戦争終盤の数日間を描いた叙事詩


永の年月を生き残ってきた物語の力に触れることは、まこと血沸き肉踊る経験。


アガメムノンを王にいただいてトロイア殲滅をもくろむアカイア軍と、これを迎え撃つヘクトルトロイア軍の戦いが物語の軸。これにゼウスを頂点とするオリンポスの神々がこれに大いに干渉することで、英雄たちの命や戦争の帰趨が左右される。アポロンアテネ、アプロディテなど、誰もが一度は耳にしたことがあるギリシャの神々と、アキレウス、ディオメデス、オデュッセウスヘクトルら数々の大英雄らが大いに活躍する様子は、実に活き活きとしている。

  • 名誉と誇りを重んじる英雄たちの生き様、死に様、その豊かな感情描写
  • 民衆の観察や生活体験に根ざしたと思われる、生き生きとした比喩表現
  • 臓腑や脳漿がぶちまけられる様子まで描く、生々しい戦争の描写
  • 他のギリシャ神話と同様、気まぐれで直情的、そして時として残酷な神々の描き方

いずれも平易でありながら印象的。


先日読んだダン・シモンズの「イリアム」は、本作を読んでから読むと、より楽しめたのだろうな。本作をキチンと読んでみて改めて、シモンズの翻案のうまさに改めて感心した。
イリアム (海外SFノヴェルズ)




さあ、次は同じくホメロスの「オデュッセイア」に行きます。
ホメロス オデュッセイア〈上〉 (岩波文庫)
ホメロス オデュッセイア〈下〉 (岩波文庫)