飲んだくれの記

方向音痴で熱しやすく冷めやすい、酒とラーメンの大好きなポンコツが綴る徒然の記。

墨攻 鑑賞

最近、劇場で映画を観る機会が多いなぁ。


場所は中国、時は春秋戦国時代、あと数十年で秦の始皇帝が中国統一を果たすという頃。大国趙の攻撃を今しも受けんとする、弱小国梁から援軍の要請を受けて、たった一人で現れた、墨家の革離と名乗る男。墨家の掲げる「非攻兼愛」の原則にしたがい、この男が、たった4千人の城を10万人の敵から守るためにとった策とは・・・!?


結論から言うと、かなり好き。
多くの人員を動員しての見ごたえある戦闘シーン。内にも外にも敵を抱えつつ、信念にしたがって孤独な戦いを続ける革離の心理描写。真の英雄なく、真の正義もない、むなしく人が殺し殺されていく、まさしく仁義なき戦いを通じて、非戦への願いを浮かび上がらせるシナリオ。
原作ファンとしても、期待を裏切られることなく、堪能することができました。


非攻を説きつつも、優れた戦術で結果的に大量殺戮をもたらしてしまう、墨家思想のはらむ矛盾にひそかに悩んでいる様子の革離の陰影あるキャラクターを、アンディ・ラウはうまく演じていたのではないでしょうか。原作に無い、美しい騎馬隊長との哀しい恋も、そうした矛盾を浮かび上がらせる上で、決して無駄な描写ではなかったと思います。


爽快さは無いのだけれど、あとでずっしりと考えさせられる、メッセージ性を持った映画です。
残念ながら映画館の人出は少なかったけど、お勧めしたいですね。


ちなみに、これが原作漫画。全8巻。僕も先日、漫画喫茶で読みました。これがまた、面白いです。

墨攻 1 革離、梁城に入る (ビッグコミックス)

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