飲んだくれの記

方向音痴で熱しやすく冷めやすい、酒とラーメンの大好きなポンコツが綴る徒然の記。

父親たちの星条旗

映画を観るだけならばDVDでもよかろうが、体験したければやはり劇場の大スクリーンで鑑賞したい。そしてこれは、是非とも体験すべき映画である。


クリント・イーストウッド監督による、硫黄島二部作第一弾。


硫黄島の擂鉢山の頂上に星条旗を掲げる6人の兵士たちの写真(このリンク参照)。あまりにも有名なこの写真は、アメリカの国威掲揚の象徴として扱われた。そして生き残った3人は英雄として祭り上げられ、それぞれに運命に翻弄される。


映画はこの3人を軸に、太平洋戦争もっとも陰惨な戦いであった硫黄島の戦いを骨太かつリアルに、しかし淡々と描きあげる。そこには英雄なんていない。ハッピーエンドもない。あるのは強烈な仲間意識と友情、そして次から次へと襲ってくる死だ。


プライベート・ライアンを思わせる、しかし遥かにそれを超えたと思しき壮絶な戦いの描写は、見事の一言。顔の見えない日本人兵士の描写も米国人兵士たちの恐怖や敵意を表現する上で効果的。


改めて戦争のむなしさと、そこで失われた命の重さ、歴史を語り伝え考えることの大切さを感じさせる映画でした。こういう映画に生きている間に出会えた幸せに、感謝。


誰にも彼にも勧めたい映画。僕ももう一回、観ようと思います。


そして日本軍側の戦いを描写した第二部「硫黄島からの手紙」(12月公開)も、これは観ないわけにはいくまい。