飲んだくれの記

方向音痴で熱しやすく冷めやすい、酒とラーメンの大好きなポンコツが綴る徒然の記。

ペイチェック ディック作品集 読了

ペイチェック―ディック作品集 (ハヤカワ文庫SF)

ペイチェック―ディック作品集 (ハヤカワ文庫SF)

率直に言うと、そんなに好きじゃない。
核となるアイデアは素晴らしい、しかし小説として稚拙。しょっぱなの「ペイチェック」がその典型。特に登場人物への共感を呼び覚まさない乱暴な感情描写についていけない。
また、たとえば極端な政治体制のアイデアがあったとして、それが何故成り立ちえているのかの要因を丁寧に描けていないために、リアリティが極度に欠けてしまっている。それがために、われわれの代弁者たるべき主人公たちの行動にも説得性が感じられない。彼らがまったくの正論を吐いても、白けちゃうんだよね。
ただ、この短編集でいうと後半の方は、ちょっとマシ。「待機員」みたいなおふざけ系は、割と好きかな。